「AFTER TALK」with Eric Coleman
ヒップホップの記憶を残し続ける
アナログな写真展とその後

「ANALOGの眼差しで世界を切り取る」
Eric Colemanが語る写真とカルチャー


ヒップホップの金字塔的アルバム『Madvillainy』のジャケットを手がけ、J DillaやMF DOOM、Madlibといったレジェンドたちを長年にわたり撮影してきたフォトグラファー、Eric Coleman(エリック・コールマン)。
そんな彼とタッグを組んだカプセルコレクション発売前日には、渋谷 TRUNK(HOTEL) にて一夜限りの写真展『ANALOG VISION』が開催され、多くの来場者で賑わいました。
Eric Coleman自身もDJとして会場を盛り上げ、その場にいた人々を特別な時間で包み込んでいました。
ここでは、熱気にあふれた会場の様子を写真とともに振り返ると同時に、Eric Colemanへの独占インタビューを通して写真展開催の背景や当日のリアル、そしてカプセルコレクションに込めた想いまで深く掘り下げていきます。


――写真展『ANALOG VISION』を振り返って、今はどんな気持ちですか?
Eric Coleman(以下、E): 正直、まだ続いてほしかったと思うくらい一瞬で終わってしまいました。
それだけ濃密な時間でしたね。
日本にまた戻ってこれたこと自体が、自分にとって大きな経験でした。
――今回の滞在で新しい発見はありましたか?
E: 4回目の来日でしたが、これまでと違って今回はほとんど計画を立てず、ただ街を歩いてみたんです。
それが本当に良かった。
新しい発見というより、日本の良さを改めて体感して、より深く理解できた気がします。
――印象に残っている食事は?
E: 朝食で食べた鯖の定食ですね。
シンプルなんだけど忘れられない。
日本の食はもちろん、人やカルチャーも含めて本当にリスペクトしています。
――展示タイトル『ANALOG VISION』にはどんな意味を込めたのでしょうか。
E: 「ANALOG」はフィルム撮影のこと。
そして「VISION」は意図を持って撮ることを指しています。
デジタルは便利だけど、無限に撮れるからこそ一瞬の“切り取り”が薄まる気がするんです。
フィルムはその瞬間を逃せないから、よりリアルでメッセージ性が強い。
だからこそ今の時代に“アナログ的な視点”を提示したかったんです。



――展示作品の中で特に印象的なものを教えてください。
E: ひとつは『MF DOOM proof sheet style 2003』。
フィルムの連続カットをスキャンして作品にしたんですが、「アナログな視点」をそのまま体現しています。
あとはNxWorries(Anderson .PaakとKnxwledge)の写真。
当時はまだ彼らが無名で、Stones ThrowのJeff Jankが背景色を選んでくれました。
アート性があって、とても気に入っている作品です。
――開催場所に日本を選んだ理由は?
E: シンプルに日本が好きだから。
行く理由が欲しかったんです(笑)。
しかも今回は作品を大きくプリントできたのも大きかった。
自分の中で写真への熱がまた燃え上がりましたね。
――APPLEBUMとのコラボレーションについても聞かせてください。
きっかけはありましたか?
E: 2022年にB+(Brian Cross)がAPPLEBUMと仕事しているのを見て、僕もやりたいと思ってHiroに直接声をかけました。
そこからコラボが実現しました。

B+(Brian Cross)カプセルコレクション発売時に行った、ポップアップ
「”Live it, breathe it, be it.”」
APPLEBUM × B+ Capsule Collection at DAYZの詳細はこちら
――完成したコレクションの中で特に気に入っているものはありますか?
E: Tシャツもいいですが、やっぱりスケートデッキ。
昔から作りたいと思っていたアイテムで、自分も子供の頃によくスケートしていたので、実物を見たときは感慨深かったですね。

※2026年1月発売予定
――では、あなた自身のルーツについてお聞きします。
ヒップホップアーティストを撮るようになった経緯はなんですか?
E: 最初は写真が好きで美術学校へ進み、ファッションフォトを目指して業界に入ったんですが、あまりしっくりこなかった。
自由に撮れないのが性に合わなかったんです。
そんな時、Stones Throwが僕に注目してくれて、Jeff Jankが評価してくれた。
それで音楽とファッションの間で活動するフォトグラファーになれました。
――あなたの写真スタイルを一言で言うなら?
E: 「正直さ」ですね。
フォトショップで体型をいじったりはしない。
被写体のありのままを捉えることを大事にしています。
シンプルだけど強い存在感を放つ、それが自分のスタイルです。
――撮る相手の音楽や作品は、あなたの写真に影響しますか?
E: もちろん。
むしろ好きな音楽のアーティストしか撮りません。
撮影前に彼らの曲を聴いて、そのサウンドから撮影のムードを決めることもあります。
たとえばDam-Funkを撮った時は、彼の背景にあるブラッズとクリップスのカルチャーを意識して、赤と青をフレームに落とし込みました。
――普段、どこからインスピレーションを得ていますか?
E: 絵画から得ることが多いですね。
特にカラヴァッジオの光の使い方には大きな影響を受けています。
写真家だとリチャード・アヴェドンやゴードン・パークスから学んだことは多いです。
それに雑誌や映画、街の景色……日常のあらゆるものを写真的な視点で見ています。
――今後チャレンジしたいテーマはありますか?
E: 世界中のストリートを撮りたいと思っています。
LA、東京、ロンドン、NY、街によって空気は違うけど、根っこには共通するバイブスがある気がする。
その“響き合う瞬間”を写真で捉えたいんです。
――最後に、日本のファンへメッセージを。
E: 日本で作品を見てもらえたことは本当に光栄でした。
少しでも新しい視点やインスピレーションを感じてもらえていたら嬉しいです。
これからも写真を通して繋がっていければと思っています。
ありがとうございました。
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【Eric Coleman(エリック・コールマン)】
アメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動するフォトグラファー。
J Dilla、MF DOOM、Madlibといったアーティストたちを長年にわたり撮影し、ヒップホップカルチャーの“本質”を写し出す作品群で高い評価を得ている。
被写体の内面に迫るような独自のアプローチと、ストーリーテリングを感じさせる静謐な空気感が特徴。
また、音楽/映像集団「Mochilla」の共同設立者としても知られ、ドキュメンタリー作品やライブプロジェクトなど多方面にわたる活動を展開。
ヒップホップの黄金期を記録し続けてきた彼の作品は、単なる記録写真にとどまらず、カルチャーそのものへの深い敬意と愛情を映し出している。
▼Eric Coleman カプセルコレクションはこちら
https://applebum.jp/collections/eric-coleman
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